『自動販売機vs僕』

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『自動販売機vs僕』

ジュースの自動販売機の前に立つ僕。 缶コーヒーを二本買う為に、250円を投入。 一本目を購入。 ゴトン…。 二本目を…。 チャリン…チャリン…。 僕を嘲笑うかの様に、釣り銭が渇いた音を刻む…。 ……。 ……。 ……。 『…うぉいっ!500円玉ならまだしも、250円入れたとやけん“二本買うんだな…”って分かるぢゃろがい!思い遣りと気配りの足らん、思い遣り気配りのぉ!そいぢゃぁサービス業はつとまらんぢゃろが!!大体、貴様の返金レバーは何のためについとんぢゃぁ!大体そんな四角四面な形やけんが、応用の利かんとたい!応用のぉ!明日から、丸にせろ丸に!』 と、心の中で、自動販売機に説教しながら、返金口の小銭を再び投入…。 百円玉…。 チャッ。 十円玉…。 チャッ。 十円玉…。 チャリン…。 …。 返金口で十円玉が揺れ、投入金額が、悲しげに~110~を表示する。 …。 『…ちょぉっと、またんかぁぁぁっ!!てめえの体ん中から出て来たもんぢゃろがい!てめぇが受け取れん事あるかぁっ!自分で出したもんは自分で始末する…三才児でも、トイレに入りゃやることぢゃろがい!』 と、怒りをあらわにしながら、三たび投入。 チャッ。 ~120~と輝く表示を横目で確認しながら、僕は勝利を確信するようにボタンを押した。 ゴトン…。 僕は勝利に酔いしれながら、二本の缶コーヒーを掴んだ。 『あっ…』 冬の寒空の下で飲むアイスコーヒーは、熱くなった僕の心を、やけに冷たく醒ましてくれた…。
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