すれ違う想い。

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 ─Seagol.1─ とある酒をたしなむ店に、銀色の髪をひときわ輝かせて泳いでいる人魚がいた。 彼女の肩まで伸びたその髪は、泳ぐ度にきらきらと輝く。まるで銀色のドレスを着ているように輝く尾びれも美しい。 客は皆、彼女に夢中だった。 彼女がいるのは店の奥の壁一面に見渡せるガラスいっぱいの中、大きな水槽の中だ。 店内は、テーブルがいくつも並んでおり、見渡せるほど広い。天井が高く二階にも客席が設置されている。だから、水槽もずいぶんとデカい。 水槽内はライトアップされ幻想的になっている。そんなロマンチックな装いに客は引かれるのか、カップルで来る客も多い。 毎晩、席が空くことがないほどの人気ぶりだ。 人魚を扱ってる店というのは前代未聞の騒ぎになり、事件になったほどだ。 故に、この店は特別に陸の政府の管理下、許可を得て営業を行っている。お陰で維持費も政府から定期的に支払われているというのが、もっぱらの噂だ。 深夜0時をまわると、店は空っぽになり、がらんとした風景が広がる。店内の灯りも一斉に消える。閉店時間だからだ。営業時間は割と短い。 日が沈むと開店。 0時には閉店だ。 バイトのものも、片づけを済ませ、着替え終わると、お互い挨拶を交わし帰って行く。 人魚の娘はライトアップされた水槽の中、一人ぽつんと取り残される。彼女は水槽の中から彼らを見送った。 しばらくすると、年輩の女性が水槽の前まで足を運び、人魚の目の前に立つ。 彼女は、この店のオーナーである。
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