赤いカーネーション

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玄関前に着くと異様に緊張してきた。 間違いなく先に帰っているだろう。 こんなに緊張するのも久々だな…   中々ドアを開けられない。   受け取ってくれなかったらどうしよう。 喜ばないかも… やっぱ止めたほうが良かったかな…… 要らない心配が出て来てますます入りずらくなる。 俺は深呼吸をして玄関を開けた。 (自分の家に入るのに深呼吸する人なんて滅多にいないよね) ガチャ。 「ただいま。」 「お帰りー!調度、飯出来たとこだぞー!」 奥から声が聞こえた   俺の緊張が増した。 深呼吸しながらリビングに向かう… エプロンをしてテーブルに夕飯を並べて居た。 「手、洗って来いよ。 帰り早かったな! 久々に一緒に食べれるな!」 俺はカーネーションを後に隠して手を洗い、ウガイをして… 顔まで洗った。 「よし!」 リビングに向かうともう座っていた。 「あ…あのさぁ… 母の日だから…… あ、あ…ありがとう。」 緊張感と照れと何が何だか色々な思いで、頭の中は真っ白状態。 まともに顔も見れずにカーネーションを渡した。 そして… 俺は初めて [ありがとう]と言った。 今日俺は、母の日に親父に 赤いカーネーションを渡した。 『純粋な無償の愛』 『母の愛情』   赤いカーネーションの花言葉。
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