序の紡ぎ

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

序の紡ぎ

「ク…ソッ!!オレはこんな所で くたばるわけにゃあ いかねェんだよ!!」 金色のたてがみを棚引かせ、 吼え、目にも見えぬ速さで 駆けている獣…… …それは獅子と形容し得る風貌 全体を 黄金(こがね)に彩る体躯には 映えるような深紅の液体が 流れ、斑のように散っいる… 黄金の獅子は 深い傷を負っていて…… 必死に駆けていた……。 息を切らせ、駆けていた… 「オレ、は、こんなトコで 死ぬわけにゃあいかねェんだ!!」 叫んだ途端、 体が耐えきれなかったのか 勢いよく地に倒れ伏す。 「ク……ッ!」 しかし獅子は 立ち上がろうとする。が 「……ッ!!?」 立ち上がった瞬間体が傾き 崩れ落ち、流れの勢いが 強い河へと落下し、抗う術無く 逞しく 美しい体は 激流に呑まれてしまった…
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!