第二章

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いつも通りボロボロのテストが終わって終業式。 蓬には死んだ魚の目をしてるともっぱら評判だった俺の目に、光が宿った。 全校生徒が集まる終業式には、当然倉田もいる訳で。俺の右斜め前に見えるあのくせっ毛は確実に倉田な訳でして。 (メアド交換、しよう!) 今更かよとかそんなツッコミはもういい。倉田との繋がりが欲しかった。 校長の長い話が終わり、俺達は解散を言い渡された。俺は素早く倉田のところに行った。 「倉田」 「中沢君、どうしたの?」 俺は周りを見渡す。どうやら空知はいないみたいだ。 (空知に見つかったら殺される気がする) 「中沢君?」 「あ、あのさ、メアド交換しない?」 「??いいけど…何で?」 何で。困った。何て答えりゃいいんだ。会いたいからなんて言えない。会えないのが寂しいなんて言えない。 どうしよう。
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