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「中沢、だったっけ。私は桃の親友、空知緋色だ」
「あ、どうも。中沢青っす」
「堅苦しいな、同じ一年だろう」
空知は手を差し出してきた。何だ、いい人じゃないか。さっきの敵意は俺の気のせいだったんだな。
俺は空知の手を取った。瞬間、潰されるんじゃないかという位の力で握り返された。
「いっ…!」
「桃に手を出したら、殺ス」
聞こえるか聞こえないか位の小さい声で、空知は言った。
明らかな殺意を込めて。
「桃、今日は一緒に帰れる?」
「うん、パレット洗い終わったら帰る」
「手伝うよ」
「ありがとうひぃちゃん」
二重人格だ、絶対そうだ。目の前で談笑しながらパレット洗いの手伝いをする空知と、さっきの殺意の固まりの空知が同一人物な訳がない!!
「中沢君またねー」
「お先」
俺は美術室に取り残された…
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