起動

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はじまりはそう──クリスマスの日。12月25日。 窓の外でもさもさと降り続く雪を横目に眺めながら、炬燵に潜り込んでミカンを食べつつ「もう限界だよ入るスペースなんてないよ勘弁してよ」と悲鳴をあげる脳みそに無理矢理の10乗くらい無理矢理に英単語を詰め込んでいたその時。 何の脈絡もなく、本当に突然に、あたしの胸にむずむずと、痒みにも似た何かが生まれ出たのだった。 「なんじゃこりゃー!」 あたしは大声で叫ぶと炬燵から這い出して窓を開け、30センチは積もっていただろう庭の雪めがけて思い切りダイブした。 いくら雪のクッションがあろうとも顔面への衝撃は吸収しきれるわけもなく、鼻にじんとした痛みが走って涙がぼろぼろとこぼれてきたけれど、あたしは誰にも汚されていない積もった雪めがけて何度も何度も飛び込んだ。 「わっ!姉ちゃんが壊れた!」 庭の片隅で雪だるまをせっせと作っていた弟を発見! 「ぎゃーす!」 あたしは直ちに作りかけの雪だるまに思い切りドロップキックをした。粉々に崩れ去る雪だるま。哀れなり。 「わー!何するんだよー!」 悲鳴をあげる弟には、最近体育の授業で覚えたばかりの大外刈をお見舞いする。 「あはははははははははは!」 そしてあたしは笑ってまたダイブに戻る。 こうなったら庭の雪全部をあたしのダイブで潰してやる! 何度も何度も飛んでは潰し、飛んでは潰し。 受身なんて取らないから、気がつくと鼻血が出ていたけれど、そんなの関係なく、あたしは飛び続けた。
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