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「っしゃあああああああああああーーー!!」
紀之は発声練習するかの如く、腹の底からでかい声を発した。
「やった!オレはやったああああああああああ!!」
周りの人がビックリして紀之の方を見てヒソヒソ話しているが、そんなことはお構い無しである。
一気に緊張と不安が飛び、喜びと達成感が出た。思えば紀之は受験しようと思った日からほぼ毎日勉強した。
それほどテニスしたい気持ちが強かったのだろう。気付いたら涙が出ていた。
「これでやっとテニスが出来る!マジ楽しみやし♪」
今の紀之は小4のあの日よりテニスのことばかり考えていた。
帰り道、紀之は中学校のことを考えた。
「中学校ってどんなんかなぁ?やっぱり小学校より楽しいんやろな♪」
「友達もたくさん出来るかな。」
「行事も楽しいかな?」など、理想ばかり並べた。まぁ小学校と中学校は全く違うので、そう考えるのもおかしくはない。
「でもやっぱり一番の楽しみは部活やな。…あぁ~、はよ入学式来んかなぁ~~。」
紀之は浮かれていた。この時はまだ、この先地獄が待ち受けているとは微塵にも思っていなかった……………。
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