憧れの部活

11/11
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
「っしゃあああああああああああーーー!!」 紀之は発声練習するかの如く、腹の底からでかい声を発した。 「やった!オレはやったああああああああああ!!」 周りの人がビックリして紀之の方を見てヒソヒソ話しているが、そんなことはお構い無しである。 一気に緊張と不安が飛び、喜びと達成感が出た。思えば紀之は受験しようと思った日からほぼ毎日勉強した。 それほどテニスしたい気持ちが強かったのだろう。気付いたら涙が出ていた。 「これでやっとテニスが出来る!マジ楽しみやし♪」 今の紀之は小4のあの日よりテニスのことばかり考えていた。 帰り道、紀之は中学校のことを考えた。 「中学校ってどんなんかなぁ?やっぱり小学校より楽しいんやろな♪」 「友達もたくさん出来るかな。」 「行事も楽しいかな?」など、理想ばかり並べた。まぁ小学校と中学校は全く違うので、そう考えるのもおかしくはない。 「でもやっぱり一番の楽しみは部活やな。…あぁ~、はよ入学式来んかなぁ~~。」 紀之は浮かれていた。この時はまだ、この先地獄が待ち受けているとは微塵にも思っていなかった……………。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!