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二人は自分らの教室をあとにして帰ろうと玄関口へ向かった。
「あぁ~荷物重いなぁ~~。」
紀之は呟いた。
「ホンマそれな!くっそぉぉ、教科書多い上に分厚いねん!!半分ぐらいロッカーに置いて行けば良かった!しくったあぁ~!」
今日のうちにたくさんの教科書とプリントが配られたので、二人の学校指定カバンはパンパンにふくれている。中1である彼らにとったら相当な重量感があるだろう。
「同感……あかん、まともに歩かれへん………」
紀之は次第にすり足となっていった。
そして荷物のことで精一杯なのか、目の前に何個かある雑巾絞り用のバケツに気付かず、そのまま………
ガッ!!ガシャアァァン!!バサバサアァァァ~!!
紀之のカバンの中身の教科書が飛び散った。
「なっ、何やっとんねん紀之!恥ずかしいやっちゃなぁ~。」
周りからは所々クスクス笑いが聞こえてくる。
「ぁ~ゴメン……ぅわカバンのチャック開けっ放しやった、最悪。」
紀之は散らばった教科書を集め始めた。
(あかん、俺カッコ悪ぅ………)
英輝も仕方なく一緒に集め始めた。
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