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「テメェ、甘ったれたことぬかしとんちゃうぞ!ゴラァァァァ!!!」
突然コート内に罵声が響いた。何かの技で吹き飛ばされたかと思うほど、破壊力のある声だった。
「もうえぇわ!テメェ今日からずっと走っとけや!テメェの顔見てっと吐き気がするわ!!このウジ虫野郎!!」
しばらくするとコートの出入り口から、この世のものとは思えないぐらい泣き崩れた顔をした部員が出てきて、すぐさま走っていった。
(………は?)
(何やこれ………?)
(嘘やろ………?)
紀之は事の理解に苦しんだ。
そしてしばらく部活の様子を見ていたと思ったら、足が勝手に帰り道の方向へと動かしていた。
(嘘や……部活って楽しいもんちゃうんか!?)
(嘘や………あれはオレの見間違いや!)
「嘘やぁぁ……!」
か細い声だった。
先ほどとはまるで別人と思うぐらい紀之は元気がなくなった。
失望
今の紀之にピッタリすぎる言葉だった。
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