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気が付くと辺りは一面闇に包まれていた。
(………?…どこや、ここ?)
暗くて何も見えない。妙にひんやりとした汗が紀之の頬をつたった。とにかく明かりが必要なので手探りで探し始めた。
「紀之!」
突然、紀之を呼ぶ声がした。
振り向くと英輝が笑顔で手を振りながら立っていた。
「英輝ぃ!いたのか!良かったぁ~。」
紀之はホッとして、英輝に近づいていった。
「ちょうど良かった。お前ここどこだかわかる!?オレ気が付いたらいつの間にかここにおってんけど…。」
「…………………」
「……英輝…?…おい、どないした?………英輝?」
紀之が手をブンブン振っても、英輝はピクリとも動かず真顔で突っ立っていた。
「お、おい…何ボーッとしとんねん。いい加減何か喋れよ、気味悪い…。」
「シネ……コノウジムシヤロウ」
「は!?」
その瞬間英輝の右腕が紀之の首へ突っ込んだ。ガシッと掴むとそのまま高々と紀之を掲げた。
「苦し……………た、……たす……け……」
必死に抵抗するが、英輝はびくともしない。人間とは思えない冷たい目をしていた。
(コイツ!何でこんな力が…だ!誰か!)
その瞬間、舞が紀之の視界に入った。
(か、母さん!?……た…頼む!助けてくれ……!)
「いいよぉ~、英輝君。そのまま殺っちゃてぇ~。」
!?
紀之は一瞬耳を疑った。
「こんな目障りなゴミがいなくなると思うと嬉しいわ!」
舞はドブ水のような濁った目で紀之を見下していた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
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