短編小説

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「で、なんか分かったー?華里奈のことー」 と、翔。 「別に何も。それどころじゃなかったよ……」 守は大きな溜息を吐き捨てた。 夜通しキャバクラだもん。魔乳以外に探るもんなかったもん。 結局古賀さんに聞きそびれたしな。華里奈が古賀さんを嫌う理由。 その時、エレベーターが停止。訓練区へ到着したようだ。 二重の自動扉が開き、守と翔がエレベーターを降りた。 ……刹那。 目前に、影がよぎる。 ヒュッ 反転する、守の視界。 「え……」 そして 「ぁぐあッ!!」 脳天から、落下。 今自分が背負い投げされたのだと気付くまで、5秒にも渡る時間を要した。 「ま……守ーッ!!」 即座に翔が心配そうな顔付きで駆け寄ってくる。 「いってぇ……うわ……コブになってる……」 頭をさすりつつ上体を起こす守。 すると顔を上げ、自分に背負い投げを炸裂させた犯人を視界へ入れた。 その人物は…… 「…………あ」 …………華里奈。
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