6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
しゅわしゅわ
しゅわしゅわ
ウィスキーコークが喉を通り、
胃の隅々に行き渡る。
今日も暑い一日だった。
昨日も、
一昨日も。
しかし、今日は一つだけいつもと違っていた。
昼間に幾度と無く見た蜃気楼が、頭を離れない。
街に行き交う人並みの中、
子供と母親達が集う公園の片隅、
信号待ちの交差点の向こう、
至る所にそれは現れた。
おふくろ。
俺の母親は、二年前に他界した。
末期ガン。
気が付いた時には、もう手の付けようがない程に
病状は進行していた。
クソッ、
明日も仕事にならねぇよ。
俺は、いつもより少し苦いその酒を飲みながら、
その日はいつの間にか寝てしまった。
最初のコメントを投稿しよう!