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「今更ですが、ここに来た目的を単刀直入に申し上げます。よろしいでしょうか?」
やっときた。それを待ってたんだ。
「勿論だ。話してください。」
父と母も緊張しているのか、表情に余裕が全く、見えない。
「実は、桜瑞希さん。あなたを預からせていただきたく参ったのです。」
「はっ!?」
家族全員が声をあげた。
少し経って、「どういう意味ですか?」
意外にも一番はやく質問したのは母だった。
「そのままの意味です。瑞希さんを預からせていただきたいのです。」
何で俺を??
「勿論、衣食住には困らせませんし、それなりの報酬も差し上げたいと思っております。」
隣で橘がうん、うんと頷いている。
意味が分からねぇ。
そんな俺を横目にして母の目が一瞬輝いた。
「報酬とは??」
おいおい、母さん。
今のあんたの瞳に映ってるのは目の前に立っている仙道さんではなく、間違いなく諭吉さんだと思うぞ。
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