第1章『神波朔夜~呪縛~』

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    甲賀の者は、血の気が多いと聞く…そのご子息も血の気が、多いのだろうか? 優しい方がいい…争いを好まない方ならなおいいのだけど…。 「貴方のお相手の、名は甲賀の金谷一族の弥太郎殿です…弥太郎殿は、甲賀の忍びには珍しく…穏やかで優しい方だとうかがってます。」 『金谷弥太郎(かなや・やたろう)殿…穏やかで優しい方なのですね…。それを聞いて安土いたしました(笑)』 「………朔夜、貴方には申し訳ないと思ってます。ですが…これもすべて伊賀の里の為。」 『……母様、朔夜は伊賀の里の為でしたら、どんな事でもいたします!!』 「朔夜…貴方には、苦労かけます、弥太郎殿との婚儀断るわけにはいかぬのです」 母様…この婚儀、断れば…また甲賀との亀裂が生じる。 だから…断る事はできない!! これ以上…伊賀と甲賀をこじれさせるわけにはいかぬ。 相手の方は…穏やかで優しい方だと言うし。 いい縁組ではないか!! 私はなにゆえ…気が乗らないのだ? 神波一族に生まれた…私の定めではないか? それを…なにゆえ、気持ちが晴れぬのだ…? 『………伊賀と甲賀の為に、この婚儀、慎んでお受けいたします。』 「………朔夜。」 近い内に、甲賀から婿殿が参られる。 婿殿と…うまく暮らしていけるだろうか?    
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