世界の王様

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例えば、自分が世界の中心なんて …思えるほどおめでたい頭はしてなくて。 「お前の夢って何?」 と聞かれた時には 酷く困ってしまった。 「アンタの夢は何なのよ。」 返答に困って、アンタの答えを参考にしようと思い そんな事を聞いたのが間違いだったのが次の瞬間に痛感した。 「俺の夢?そうだなぁ…まず勇者だろ?賢者に、魔法使い。それから…」 「もういい。」 なっんておめでたい頭。 勇者? 賢者? 魔法使い!? アンタの頭はゲームの中身か!? 顔をしかめて、一歩先を歩き出したアタシの後を アンタはいつもと同じようにヒョコヒョコとついてくる。 「なぁ、お前の夢って何だよ?」 「そんなの、知らない。」 「何で?」 「アンタ、バカでしょ。」 「Σひでぇ!」 いつものやり取りだったのに、 頭の片隅で何かが切れたような音がして、 アタシは一呼吸してから 心の叫びを吐き出すように。 「バカだからバカって言ったのよ。 勇者?賢者?魔法使い!? アンタ何様のつもり!?世界の王様にでもなったつもり!? バッカじゃない!? なれる訳無いじゃない! アタシは、…あたし達は世界の端っこの脇役でしか無いんだから!! どうして、…どうして自分が世界の中心だなんておめでたく考えられるのよ!!?」 一気に言い切ると、その場から逃げ出すように足を速めてしまった。 アンタの顔はこれ以上見たくなかった。 アタシの言葉にびっくりしたような、 心配したような、哀しくなったような表情は。
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