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そこには私より少し背の高い小太りの男が立っていた。長い髪を後ろでまとめ、灰色の着物を着ていた。
「やっと見つけたぞ。もう逃がさないからな。」
男は怒りの形相で私の腕を掴み奥に連れて行こうとした。私が必死に抵抗したが男の力には敵わず、一番奥の部屋に連れて行かれた。
部屋には行灯（あんどん）がひとつ。ゆらゆらと妖しい光を放ち、男の影を妖しく揺らしていた。
「もう、馬鹿な真似が出来ないようにしないとなぁ…」
男はそう言うと私を力ずくで押し倒して着物の帯をはずし、私の両腕を縛った。
私は力いっぱい抵抗すると男に顔を殴られた。
「無駄な事はするな！お前は俺を裏切ったんだ。裏切れば償うのが…人間だろう？」
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