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「……ッ…ハァッ……フゥ…フゥ……」
しばらく苦痛に耐えながら続けていると破水した。
「由紀子ちゃん。いいかい?落ち着くんだよ。アタシの合図で踏ん張るんだよ。」
「ほら、踏ん張れぇ~!」
私は合図と同時にリキんだ。
「ゥンンンンンンンンンッッ~~!!」
「力抜いてぇ~!」
「ッッッハァッ…ハァッ…ハァッ…」
「はいっ、踏ん張れぇ~!」
「ゥンンンンンンンンンッッ~~!!」
「力抜いてぇ~!」
「ッッッハァッ…ハァッ…ハァッ…」
「よし、頭出て来たからもう少しだからね。踏ん張れぇ~!!」
私はこの苦痛から早く抜け出したいと、力いっぱいリキんだ。
「………ォギャアァッ!ォギャアァッ!!」
永遠とも思えた出産は7時間程で終わった。
産婆さんは私の元へ産まれてきた男の子を寝かせ「元気な男の子だよ」と、優しく微笑んだ。
私は横に寝ている我が子の手の間に小指を入れると、そのとても小さな手はしっかりと私の指を握った。
私と雅人の間に命が芽生え、そして無事誕生した事に何とも言えない程の感動を覚え、私と雅人の目から熱い涙が流れ落ちた。
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