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『利き手はやめろぉ!』
04年某月某日、福岡ドーム。
ダイエーホークスのベンチで城島健司の叫び声がこだまする緊急事態が発生した。
投手にとって利き手(肩)は命。
相性が良いはずの千葉ロッテ・マリーンズ打線に、その日はボコスカ打たれまくる。
長短打のオンパレード。
終いには、ホームランバッターじゃない福浦和也に満塁本塁打を浴びノックアウト。
2回7失点。
マウンド上で呆然と立っているのは杉内俊哉。
通称『ブルガリア』。
後にこのニックネームは全国区となる。
なぜ『ブルガリア』なのか?
これに関しては諸説入り乱れている。
前年度に10勝をあげたことから「『明治十勝ヨーグルト』=『明治“ブルガリア”ヨーグルト』」。
彼自身、無類の『“ブルガリア”ヨーグルト』好き、などなど。
そしてあの日…。
どうにも怒りが収まらない“ブルガリア”杉内は、ベンチに戻るや帽子とグラブを地面に叩きつける。
それでも飽き足らず、椅子に向かって両手拳を振り上げる。
城島『利き手はやめろぉぉぉ!』
城島『ブルガリア! ブルガリアァァァァァァァァァ!』
だが、遅かった。
椅子を殴打した“ブルガリア”杉内の両手拳はこっぱ微塵に。
緊急手術を要する大怪我となってしまった。
結局、その年を棒に振るった杉内。
入院中『明治ブルガリアヨーグルト』をたくさん食べ、カルシウム不足を補っていたかは不明だが、『ブルガリア好き』の彼に、未だCMのオファーはない。
(完)
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