赤い眼と死体

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しかし、声をかけるより早く何かがおかしいと気付く。 そう、人の気配に敏感なナギが、ベランダの二人の気配を、感じない。 声も聞こえてはこなくて。 「…………え」 カーテンを開けた。 その視界に。 ただの闇がひらけている。 本当に二人がいない、がやつくテレビがやけに虚しく背後で響く。 口を薄く開き、呆然となりかけながらもベランダへ一歩、踏み出す。 全身が警戒を促していた。 だがその足元に上から落ちてきた二つの物体に、ナギの体はまた硬直する。 白のボールが歪んで酷い汚れ方をしてるように見えたが、それは違う。 組織の半分を無くした、頭蓋骨むきだしの人間の頭、だ。 「…リュウジ」 顔を半分なくした友人が、それでも恐怖より、何かポカンとした表情でナギを見上げている。 その横にある頭はそっぽを向いていて、穴のあいた後頭部しかみれない。 カロロロロロ…。 弾かれるよう見上げた。 闇に流れるよう消えた赤い光。 無機質な瞳に見えた。
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