安定剤と警察

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着信音だけでミナトからだと解る、何食わぬ顔で通話に出た。 『終わったけどどうしたの?』 「お疲れ様、いやなんか落ち着かなくて今コンビニにいるんだよね」 『じゃあそこに来るから、待ってて?』 うん、と通話を切る、おそらく彼女はナギのいつもの癖だと思うだろう。 彼は夜中を嫌う。 落ち着いて眠るならいいが、起きていれば常に神経質になっていて大変なのだ。 睡眠薬を飲まなければ眠れない彼の事を、ミナトはよく知っている。 ナギは彼女を待ちながら、読んでもいない雑誌のページをめくった。 部屋を、出た時からきっと追われていたのだろう。 通りと言えコンビニの裏は暗い住宅街だ、しかし何の音もしなかったはず。 奴はどうやって自分を追ったのか、そして何故、攻撃されなかったのか。 見つけた瞬間に奴は闇に消えてしまった、それだけは確かだと。 ナギは推測を固めていく。 その肩を叩いたミナトに、らしくもない小さな悲鳴をあげたものだ。
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