4人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
だから、理由いってくんなきゃ無理だよ。
その言葉を夜明けまで聞いた、実家に帰ろうと言ったが理由が明確でない上に彼らしくないので、ミナトにはねつけられたのだ。
「…とにかく、何がそんなに嫌なの?実家に帰ったらまた無理して働くとか言い出すんでしょ?」
「だから、二人でいたいのは確かだよ、だけど此処は…」
此処はヤバイだなんて言えない、彼は口を閉ざして参ってしまった。
そんな彼にいい加減に腹が立った彼女は、スタスタとマンションへ歩きだしてしまう。
「ちょ、待てよ」
慌てて彼女の手をとるが止まる様子などなかった、夜明けまで押し問答を繰り返した二人は疲れている。
ナギは晴れ渡った朝の空を見上げ、夕方に彼女と一緒に部屋を出て、それまでに事実を話すか決めようと考えた。
しかし。
「っ…ミナト!」
思いきり手を引いたら、彼女も驚いた顔で足を止めたのだ。
それも、角から出てきた車からかばってだが。
「…ごめんナギ」
「いいよ、気をつけて」
足を止めた二人に、ため息がこぼれていく。
「ナギ、なんかおかしいよ?」
改めて彼の、すぐれない顔色に問い掛けたが、やはり彼は口を開かない。
最初のコメントを投稿しよう!