迫る闇と山の中

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だから、理由いってくんなきゃ無理だよ。 その言葉を夜明けまで聞いた、実家に帰ろうと言ったが理由が明確でない上に彼らしくないので、ミナトにはねつけられたのだ。 「…とにかく、何がそんなに嫌なの?実家に帰ったらまた無理して働くとか言い出すんでしょ?」 「だから、二人でいたいのは確かだよ、だけど此処は…」 此処はヤバイだなんて言えない、彼は口を閉ざして参ってしまった。 そんな彼にいい加減に腹が立った彼女は、スタスタとマンションへ歩きだしてしまう。 「ちょ、待てよ」 慌てて彼女の手をとるが止まる様子などなかった、夜明けまで押し問答を繰り返した二人は疲れている。 ナギは晴れ渡った朝の空を見上げ、夕方に彼女と一緒に部屋を出て、それまでに事実を話すか決めようと考えた。 しかし。 「っ…ミナト!」 思いきり手を引いたら、彼女も驚いた顔で足を止めたのだ。 それも、角から出てきた車からかばってだが。 「…ごめんナギ」 「いいよ、気をつけて」 足を止めた二人に、ため息がこぼれていく。 「ナギ、なんかおかしいよ?」 改めて彼の、すぐれない顔色に問い掛けたが、やはり彼は口を開かない。
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