赤い眼と死体

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翌日、昼前に起き上がった彼はミナトと買い物がてら外へ出ていく。 狭い階段を降りる寸前、見渡せる山を見つめた。 「…どうかした?」 訝しむよう下から見上げた彼女に、いや、と被りをふる。 山は至って穏やかに見えた、木々が揺れ動く様も気持ち悪さを感じさせない。 昨夜のはやはり気のせいだと、ナギはしかし引っ掛かりを感じてる頭を二、三振る。 下まで降りて道路を踏んだら、目の前に車が停まっていた。 隣の部屋に住む、ミナトの友人だ、車の中からこちらに気付くと窓をあける。 「久しぶりと、はじめまして」 気さくな笑顔の若い男。 名前は聞いても覚えないナギの性格を聞いていたらしく、彼はタケとだけ名乗り、幾分年下のナギにもそう呼ぶよう言った。 さして興味も持たないナギは気のない返事を、しかし笑顔で返す。 「じゃあまた今度」 タケが軽く手を振り、車を荒々しく発進させた。 「ふう」 ナギは他人が苦手で、ため息もやや苦い。
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