分岐点

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高校卒業後,地元に何の夢や希望も持てなかった俺は、親父方の従兄弟の紹介で群馬県に就職を決めた。 「嵩博,たまには電話してけれ。それと…変な女に引っ掛からないようにね。」 「そんだことお袋に言われなくてもわがってる。俺は仕事で腕上げるまでここには帰らねぇから。」 掃除屋の仕事は黙々やれるという点で、俺の性格には合っていたような気がする。お袋への宣言通り女には目もくれず…つ~かただ単に律子の一件以来,女が苦手になってしまっただけなんだけどな。 それと女だけでなく,人と関わることも面倒くさくなった。人の言葉も何か裏があるんじゃねぇかと勘ぐったりするようになったし、たまに会社の接待とかでパブだかキャバクラだかの飲み屋に行っても…自分でも小憎らしい位の仏頂面で周りをしらけさせるなんて事もあった。
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