へたれ

秘密

『でも…言葉は悪いですけど、そんな大金をあんな女に渡す必要はなかったんじゃないでしょうか？』

『そうね…律子ｻﾝのことで塞ぎこんでるあの子をずっと見て来たから、母親としてはやっぱり憐れでねぇ。』

『確かに，お母ｻﾝの気持ちはわかります。』

『だからこれ以上嵩博を傷付けないで欲しいと言う気持ちで，お金で解決できるならって……でも美紀ｻﾝにこんなことお話して悪かったわね。あんな息子ですけど、これからも嵩博と仲良くしてやって下さい。』

『こちらこそ。嵩博ｻﾝは繊細で気持ちの優しい人で、私もよくして貰っています。』

『あの子は人に気持ちを伝えるのが苦手でね，家族にさえあまり話をしないのよ。携帯に掛けても出てくれないし、元気でやってるのか心配で心配で…。』

『仕事も一生懸命やってますし、大丈夫ですよ。私は嵩博のことは弟のような感情も持ってるんです。何かあったらお知らせしますね。』