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―2007年12月― クリスマス。世間の奴らは浮かれている日、俺ら2人にとっては最後の別れの日。涙をこらえて精一杯の笑顔で…この瞬間を迎えていた。 『嵩博、本当にごめん…なさい。』 『ほらぁ、“ごめんね”よりも“ありがとう”で別れようって決めただろ?』 車の助手席で、今にも泣き出しそうな美紀の手を繋ぐ。 ―重ねた手を自分の口唇にそっと近付けた美紀― 『私はあなたのこの手が…本当に誰よりも…』 たまらなくなって、美紀の口唇に軽くキスをした。 『嵩博…たかひろぉ』 『わかったから、もう何も言うな』 もしも、あいつと結婚なんかするなと言えていたなら… 『嵩博、もぅ1回チュウして?』 もしも、初めて出逢った頃のような2人に戻れるのなら…
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