1,オペレーション・ミラージュ

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 ――2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロをきっかけに始まったイラク戦争。イラクへ派遣されたアメリカ軍は陸軍と空軍だけではなく、後方支援と物資の補給という任務で海軍もまた駆り出されていた。  アラビア海からペルシャ湾に入った米軍の原子力潜水空母。それにクルード・ブランカートは搭乗していた。  当時、15歳だった彼だが、本来なら兵士として徴用出来ない。しかし、彼の類い稀なる戦闘センスを捨て置く程米軍も馬鹿ではない。身分証を偽装し、正式な海兵としたのだ。  イラク南部のバスラに補給物資を運ぶ為に大型トラックの荷台に護衛として乗り込んでいた。そのトラックがバスラへ向かう途中でゲリラの攻撃に遭ったのは不運としか言いようがなかった。  当然の事ながら、護衛のクルードはゲリラに抗戦をした。  だがまだ若年だったクルードにはトラックを守りながら、地の利を上手く使うゲリラを蹴散らす程の力は無かった。  他の部隊員は全滅。たった独りでゲリラを撃退した彼も、手酷い傷を負わされた。  そんな時通りかかった日本の戦地ジャーナリストに見付けられ、彼は一命を取り留めたのだ。  彼を救い傷の手当てをしたジャーナリストが紺野寿であり、そのままクルードを連れて日本に帰国した彼は自分の家にクルードを預けたのだった。そしてそのクルードの世話をしていたのが紺野浩。紺野寿の父であり、日本航空自衛隊の将校であった――。
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