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母という華
美しく咲いていた華が散り枯れていく瞬間を十歳のときに目のあたりにした。
これからもっと美しく咲き続け観る人みんなが幸せに感じるはずだったのに…
ワシにはその華は眩しすぎるくらいでふれたくてもふれられず観てるしかできなかった。
でも、観ているだけでよかった。
同じ時間を同じ空間に居れる喜び。
それだけで心が大空に浮かぶ白い雲のような気持ちになれた。
こんなにも早く散り枯れていくなんて…
そこにあって当たり前だと思っていたのに…
いつかこの手にとっていろんな思いを伝えるはずだったのに…
同じ華は二度と咲かない。
もしも、あの時間に戻れるならば、ワシは迷わずこの手で触れてその華がいる意味と存在を素直に伝える。
枯れる前にワシという種から芽を出させてくれてありがとうと。
そして、いつか美しく咲き続けられる華になれるように…
あの華は今枯れることのない心の華になっている。
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