ACT.1 青天霹靂

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 街の光にぼやけた夜空に微かな星々が煌めく。夕暮れに満ちた雲は流れていた。  凪咲は家に着き「ただいま」の挨拶と共に「おかえり」の返事を受け取る。  いつものように風呂場に向かってシャワーの蛇口をひねり、スタスタと制服を脱ぎ捨てた。  長くしなやかな黒髪が艶やかな肌にかかる。出しっぱなしのシャワーから溢れる水は、緩やかに熱を帯びた温水に変わる。 (冷ったーい) 「気持ちいーい」  掌にシャワーを浴びせ、副音声を胸に秘めて快感を言葉にした。  熱を持ったとはいえ殆ど水に近いそれは、夏盛りの季節には心地良い刺激を与える。  腕や足などの末端から胴体に向かって洗っていく。  その後でシャワーから溢れる水を体全面に被り、髪の毛に潤いを齎した。  スッと髪の毛が縦に落ち、髪に当たった水を吸い込むようにして滴り落としていく。  瞼を閉じて顔面にシャワーを浴びる。弾いた滴が綺麗な孤を描いて床に落ちた。  濡れた髪が纏まる。砂埃に吹き晒された髪は求めるようにして水分を奪った。 「空、今どこに……?」  風呂窓の隙間から覗く星空は静か。サラッと揺れる木の葉。閉じ瞼のような太い三日月が御上市を照らしていた。
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