ACT.4 胸襟担白

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 青天の空の下、石畳を並んで歩く男女。その周りを人間ではない生物たちが当たり前のように二足歩行で歩いている。  二人の歩いている区画では建物の配置が整理されており、道が真っすぐに伸びている。  街中の建物の大半が背の高い建造物で、そのほとんどがジニアの研究及び育成機関である。 「最初は、そうだな……」  数多の特性と属性に分類され、今尚も増え続けているジンを研究する昇世の学術都市クタニド。  その本質は、鏡土(アニマ=アニムス)に於けるジンの干渉とその影響が及ぼす十二の星殿(アパシミュトル)の活性化を記録。それらの情報を治安維持を基とする統轄機構(ラブクラフト)へと報告し、鏡土の秩序と安定を調律する。 「自分のジンの事、もっと知りたいだろ?」 「うん」  三つ目の角を左に曲がり、視界を遮る大きな建物が目に入る。 「ここ?」  藤崎が頷いた。白を基調として青いラインを施した清廉とした外装。窓一つない。  正面には硝子扉があり、近付くと折り畳まれるようにして開いた。 「ようこそ、審査所(スキャナー)へ」  出迎えたのは清楚で物腰の柔らかい女性。さらっと揺れるブロンドの髪の隙間から碧眼が覗く。 「ジニアライズされていない方はあちらのテーブルへどうぞ」  建物の雰囲気と同調した青のラインに白い服を着た女性。顔立ちが人形のように整っている。  女性は手を掲げて向かいの机を指した。  指し示されたテーブルに身体を向けて向かう途中で凪咲が尋ねる。 「ジニアライズって?」  金髪の女性が投げた言葉をそのまま問う。藤崎は受けた言葉に得意げに答える。 「ジニアとしての正式な証明で、それがない限りはこの世界での行動を制限される」  通路の脇で大きな荷物を持ち上げる毛深いジニア。下半身よりも上半身が大きく発達している。  凪咲は横目で擦れ違うジニアを観察しながら聞いた。 「どうして私がジニアライズしていないって分かったの?」  チラッと後ろを振り向いて入口で出迎えた女性を見る。女性がニコッと優しい微笑で迎え、凪咲も応じて微笑みを返す。
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