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ACT.3 鳶飛魚躍
迷いは消え、一歩を踏み出す。否、迷いなんてなかったんだ最初から。
やっと手にした理想郷への切符を手放そう筈もなかった。
明日という未来がこれほど眩しく感じられた事はない。
今日という日常がこれほど楽しく感じられた事もない。
昨日という過去の自分がこれほど馬鹿らしく感じられた事などない……。
どうして知らなかったのだろう。自分の想いで生きることの楽しさを――。
私は歩み進んで行く。一歩一歩を確かに踏み締めて、漸くたどり着く世界を見据えて。
その差を少しでも縮める為に、ゆっくりとでも彼の後を追いかける。
それも全て、私が私であるために、理性のままに生きるために――。
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