ACT.4 胸襟担白

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ACT.4 胸襟担白

 特別な"力"。  私たちの日常から遠く離れた世界"アニマ=アニムス"に於ける存在の証明。それ自体が夢を現実に導く偶像。  私が手にした白と黒のジン。相対する容姿を重ね、幾つもの不幸の連鎖を背負った者たち。  それらが私の中に眠る。ひたすらに静寂で、儚げな存在。  マンネリが遠く感じられるほど充実した現実(いま)に、ずっとずっと願っていた私がいる。  彼らを手にする時、初めて素直になれた本当の自分。それはとても真っ直ぐで自分でも恥ずかしいぐらいに我儘だった。  私を護ってくれると言った二つの命。ようやくの昇華、新しき日常への変化が私を私にしてくれる。  長く感じられた時間も、手にしてみればあっという間の出来事。無数の光りの中で掴み取った唯一無二の力。  両儀の狭間に落ちた者たち。  彼と同じ、私だけの力――。
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