「金縛り」中級編

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毎日、ではない。連日だったり間を空けてくれたり、結構不定期に深夜のお客はやってきた。金縛りといういらんオマケを手土産に。   「白い女」の次には「軍服のような服を着た男」で、老若男女統一なく、不思議と一夜に一人だけ。彼らは部屋にゆらりと入るか姿を軽く見せるかだけで、私が     来るなー帰れー。     と、金縛りで固まりながらも念じていれば直ぐに消えてくれる。そして出現時間は2時~4時までと決まっていた。     そんな夜が二ヶ月続く。いつからか、明らかに「人」と呼べないモノも現れるようになった。 時刻は2時~4時。突然の金縛り。これだけはいつも通り。     う゛っ…!     思わず体に、腹に力が入る。何かが腹に乗っていた。ただそれは何か形あるモノが、という感じじゃない。ただ腹の部分に丸く、重圧をかけられているような感覚。重いというより、苦しい。 こんなことは初めてだったけれど、私は自然と諦め半分な気持ちで受け入れていた。     ああ、またか。今度は何?     ちらり、唯一自由な目を動かし見辛い腹の方を見た。暗い部屋で見えるモノは高が知れている。それでも見えたのは     黒く 丸い カタマリ     これは何だろうか…。今までのお客とは違う不確かな姿形と確かな接触。 重い。苦しい。 腹に力を入れれば入れるほど、比例するようにその重圧も増す。どうしていいのか分からない。この時もやはり、一秒でも早く消え失せるようにと強く念じるしかなかった。   その日から、人であったお客の訪問はばったり途絶え、人でない重苦しい何かのみが頻繁に私を襲った。
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