「金縛り」中級編

3/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
慣れ、というのは怖い。 しかもまだ中学生の私は順応性が高かった。恐怖が消えることなんてさすがになかったけど、「黒いカタマリ」の対処法は直ぐに、文字通り身を持って学んだ。   簡単なこと。体の力を抜けばいい。体から力が抜ければ、不思議と重圧も軽くなる。まさに押してダメなら引いてみろ。どうしても重さを感じて力が入ってしまっていた体も、慣れてしまえば感覚が掴めて自由に力を抜けるようになった。なんて小器用な体。     ただ、たまにフェイントで腹からずるずると胸の方へ上がって来られると、もう、力を抜く云々なんて頭から消えるほどの恐怖に襲われた。得体の知れないモノが顔へ近付いてくるのは、何故か倍以上の恐怖感を煽る。   腹に止まってさえいれば、「慣れたいつもの金縛り」で終わってくれるのに。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!