1 犬と人との関係

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  無力化した犬軍団は一匹残らず宮殿の外に出され、街の人々に飼われた。   そして犬は、主人に忠誠を尽くし生涯を終える生き物となった。     こうしてペキラホンヅ王国は、人間が平和に暮らす国として再興した。       ヤンクムは功績を認められ、褒章を受けた。   また、王プモンナズが大変にベボッチャスープの味を気に入り、宮殿専属の給仕係に任命された。       王国を取り戻した数日後、プモンナズと兵士数人は遥か西の樹海を目指して旅立った。   魔女スルーメデに、少し残った秘薬の壺を返却する為に。     道中、大陸の中央を流れるプリチッピー川で100人分の食器を綺麗に洗った。       深い森を抜けようやく泉にたどり着いた一行の前に、以前と同様にスルーメデは美しい姿を現した。     『おめでとう、人間の王。我が千里眼でそなた達の成功は見たぞ。約束通りに犬を殺さず、こうして壺を返却しに来た事は信用と評価に値する。』     この一件で、魔女とペキラホンヅ王国の友好的な関係が結ばれた。       余談だが、 宮殿専属給仕となった青年ヤンクムは時々海岸へと出かけ、板切れを集めたみすぼらしい家に住む小さな犬にベボッチャスープを食べさせてやっているらしい。   
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