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大陸の中央を縦断するプリチッピー川流域の南部、エデムス(海)へと流れ出す近辺に分布しているのがここクシャーロ湿原である。
湿原では、主に魚類,両生類,爬虫類が生活していたが時折、鳥類や哺乳類が旅の途中に立ち寄る事もある。
ある時、湿原に数十羽のウサギが訪れた。
それを出迎えたのが、身体はとても小さくか弱い亀族のボルボンドーラ種であった。
『何も無い湿原ではございますが、ごゆっくりお休みください。』
亀族の長が挨拶をすると、身丈の大きなウサギが前に出てきた。
『我々は少々疲れているし、空腹なのだが……タダで食べさせてもらうのもな……。』
『結構ですよ、この湿原に訪れた方皆さんがお客様です。』
『そう言っていただくとありがたい。お言葉に甘えさせていただこうか。』
ウサギの一行は亀族の歓迎を受け、ごちそうを食べて寝床を用意してもらった。
問題はそこから先の話。
2,3日休養した後、旅立つと思われたウサギ達は動く気配が無いのだ。
毎晩のように飲み食いし寝るだけのウサギ達に、さすがの亀族も業を煮やし始めた。
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