4 鷹の眼差し

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ガイア大陸の南東に標高3000メートルを越える山の連なりがある。     それがヒメラニャーン山脈だ。     その頂の雪は夏でも溶ける事は無く、生息する動物は少ない。     毛足の長い牛や、猛禽類やネズミ科の小動物が共存していた。     そして、空の監視役である鷹の【ムーノ】が静かに下界を眺めていた。      彼女もジアースと同様に、ガイアの平和を監視する為に遣わされたのだが、その存在は高い山に住むので知られていなかった。       ある秋の昼下がり、ムーノがいつものように切り立った山の頂で下界を眺めていると、ジアースの住む孤島の辺りから一筋の光が放たれた。     『誰かが裁きを受けたのか……?』     それはゲルモニウスの悪しき皇帝ベントラーが、ジアースの裁きを受けて星となった瞬間だった。     『闇の星はガイアに不幸をもたらすかもしれない。……スルーメデに相談してみようか。』     ガイアの秩序はジアースとムーノによって守られていたが、彼らも神ではない。     『ジアースは長くガイアを守り続けて、己れの誕生を忘れてしまったか?』     ムーノは、ジアースの生命力が衰えてきているのを感じていた。  
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