14人が本棚に入れています
本棚に追加
「すまないな……私の蒔いた種が皆を苦しめているというのに、何もしてやれない…。」
『良いのです。
私達ガイアの民は今、神に試されているのです。
ここで力を、思いを尽くせない者が一人でも居るのなら、私達に生きる道は無いのでしょう。』
ムーノは樹海から飛び去り、ヒメラニャーン山脈から吹雪を呼び寄せた。
この時ばかりは、命を奪い尽くす寒さがガイアの民の命を救う事になった。
猛獣ボルボンドーラ達は、急激な寒さに慌てて土の中に潜っていった。
全ての景色が白く輝いた頃、ジアースが率いる人間と動物がボルボンドーラの眠る土地へと旅立った。
『待つのだジアース!!!!
そなたらの敵は、普通ではかなう相手ではない!!!』
監視役ムーノの声は、力衰えた監視役ジアースの元には届かなかった。
獣人ジアースは長く戦い過ぎたのだ。
ガイアに来訪する悪と闇との戦いが、彼の能力を低下させていた。
そして、吹雪を呼ぶ為にムーノの力も衰弱していた。
本来、冬が訪れる時期を無視して秋に呼んでしまったからだ。
『ジアース……待つのだ!!!
私が薬を届ける……まで……!!!』
最初のコメントを投稿しよう!