4 鷹の眼差し

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  「すまないな……私の蒔いた種が皆を苦しめているというのに、何もしてやれない…。」     『良いのです。 私達ガイアの民は今、神に試されているのです。 ここで力を、思いを尽くせない者が一人でも居るのなら、私達に生きる道は無いのでしょう。』       ムーノは樹海から飛び去り、ヒメラニャーン山脈から吹雪を呼び寄せた。     この時ばかりは、命を奪い尽くす寒さがガイアの民の命を救う事になった。     猛獣ボルボンドーラ達は、急激な寒さに慌てて土の中に潜っていった。       全ての景色が白く輝いた頃、ジアースが率いる人間と動物がボルボンドーラの眠る土地へと旅立った。     『待つのだジアース!!!! そなたらの敵は、普通ではかなう相手ではない!!!』     監視役ムーノの声は、力衰えた監視役ジアースの元には届かなかった。     獣人ジアースは長く戦い過ぎたのだ。     ガイアに来訪する悪と闇との戦いが、彼の能力を低下させていた。     そして、吹雪を呼ぶ為にムーノの力も衰弱していた。     本来、冬が訪れる時期を無視して秋に呼んでしまったからだ。     『ジアース……待つのだ!!! 私が薬を届ける……まで……!!!』  
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