出会い

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私はあまり腹が減っていないのだがショータイム(?)を終えたばかりの踊り子さんたちはよく食べる、そしてよく飲む。ルドルフは誘いかたがうまいなぁ。 ひとしきり飲み食いが落ち着くと正面の女の子が喋りだした。「私はイザベラよ、あんたは?」「チンウェンだよ」「変な名前ね、何処から来たの」「日本だよ」「知らないわ何処にあるの」「この大陸の東の果てにある」「なんでそんな遠い所から来たの」「友達に会うためだよ、それに旅が趣味なんだ」「「趣味、ですって?!」と、少し不機嫌そうになる。その時の私にはイザベラが不機嫌になった理由が分からなかった。 「どうかしたの」「別に、あのね私はジプシーなの、他の子たちは違うけど私は本当のジプシーなの」「へぇ~、それじゃあの踊りはジプシーダンスなの?」「違う、あれはジプシーダンスらしく見えるように私が教えてあげたの、ね?みんな?!」「そうよ!ありがとうベラ!!」他の踊り子さんたち全員で返事をする。どうやらこの子がダンスチームのリーダーのようだ。 「本当のジプシーダンスはジプシーにしか踊れないよ」「君は何処から来たの」「私のお婆ちゃんはインドから来た、お爺ちゃんはトルコ人で私のお父さんが生まれた。そこへルーマニアからやって来たお母さんとの間に私が生まれた、わかる?」「・・・?まぁいいや、で結局は何人なの」「国籍はルーマニア、ドラキュラ城の近くに住んでるのよ」「嘘だろ・・・」悪気はなかったのだが思わず言ってしまった。「私は嘘は言わない」(しまった)「ごめん、ごめん」「いいよ、でも本当だよ」「うん、信じるよ」「ドラキュラ城は二つあるって知ってた?」「いや初めて聞いたよ、っていうかドラキュラ城が本当にあるとは思わなかった、映画の中だけの話だと思ってた」「聞きたい?」「聞きたいよ、ぜひ聞きたい」「信じる?」「信じるよ」 「じゃあ、話してあげる・・・」
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