出会い

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出会い

私はチンウェン、物語の中ではチンとしておくのでよろしくお願い申しあげておく。チンウェンとは私の本名の中国語読みだが、ある時台湾の女の子と話をしていると「チンウェンって台湾で一番人気のある女の子の名前だよ」と言われ大ウケして以来私のニックネームとして使っている。 さて、本題に入ろう。私の友人にルドルフというチェロ奏者がいる。ドイツの片隅のとんでもないど田舎で電気と電話がある以外はまるで三百年前のような暮らしをしている。 多くの人がクラシック奏者というとオカタイイメージを持っているようだが、そんなことはない、ルドルフは酒と若い女の子が大好きだ。 その夜も私とルドルフはワインをしたたか飲んでいた。 ルドルフご自慢の蓄音機(ゼンマイ式!)で雑音混じりのクラシック音楽ばかり聞かされ辟易としていた私は「ルドルフ、ロック音楽はないのか」と聞いてみた。あるわけないよなぁ、と思っていると「わかったついて来い」と言う。そして私たちが向かった所はルネッサンス音楽を聴かせる店だった、何でも今はジプシーミュージックフェアだとかで生のジプシーバンドがステージで演奏しジプシーのような踊り子たちが踊っていた。「ルドルフ、俺はロックが聴きたいんだよ」、「チンようく聴くんだ、これは音楽の源だ、俺のクラシックもお前のロックも元々は一つだった、これがその源流だ」・・・そう言われて聴けばロックのように聞こえなくもないが、ルドルフの理解できるロックとはこれが限界だったようだ。しかし、これはこれで悪くない、私は素直にジプシー音楽とダンスを楽しんだ。 ここからが私の運命だったのか、若い女の子が大好きなルドルフはその店が終わってから踊り子さんたちを連れてお酒といっしょに食事もできる店に行こうと言い出した。一人では帰れないので当然私も朝まで付き合うことになる。そこで私の正面に座ったのがイザベラという女の子だった。緑色の目をした不思議な女の子だった。
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