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キュルルルルル…
タイヤの回転音を響かせながら押し続け数時間…
疲れもピークに差し掛かった男は息を切らしていた。
『ハァハァ…どこに整備工場が…』
キュルルルルル…
ギュルルゥ~
何か違う音がした。
男はフローゼンの様子を見た。
どうやらさっきの音はフローゼンのお腹の悲鳴らしい。
フローゼンは目を渦巻きにさせながらフラついている。
『お腹空いた』
そういえば昼から何も口にしていない。
もぅ夕暮れに差し掛かっていた。
男は微笑みフローゼンを撫でた。
『何か食べようかね』
男はそう言うと辺りを見渡し飲食店を探した。
『あれ。あれ』
突然フローゼンが指差した。
男はバイクを止めフローゼンの指差した方向へ目を向ける…
明るく灯る店…
『パン屋か…パン食べたいの?』
男がフローゼンに聞く。
フローゼンは答える。
『ない』
『ない…か…』
男は頭をかいた。
『この辺もなさそうだし…今日はここで我慢するしかないか…』
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