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「ななかの事で話があるんだよ!なつみ!開けてくれよ!」
戸を一枚隔てた場所で、和史があたしを呼び続ける。
あの頃の感情や、光景が思い出された。
和史が、知らない女と寝ていた時の、あの生々しい感情が……
あたしは、何も見たくなくて、何も聞きたくなくて、思わず、頭を抱えるように両耳を塞いだ。
お願い……
これ以上、あたしを苦しめないで!
あたしは、やっとの思いで声を振り絞った。
「あたしは、絶縁された身よ?ななかの母親である事を放棄したのよ?
あたしに、ななかの相談を持ち掛けるなんて、おかしいじゃない。
和史、あの時ななかは俺が引き取るって言ったじゃん」
「……ななかの容態があんまり良くないんだ……。身体の容態じゃなくて、精神的な……」
「……どういう事?」
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