小さな命

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産婦人科に運ばれた次の日……。 あたしは大学を休んで、一人暮らししているマンションに篭った。 身体が怠かったのもあるしツワリがひどい。 柑橘類が無性に欲しくなった。 介抱してほしいけど、そんな相手はいない。 和史は、バーテンの仕事に備えるため、昼間は仮眠の真っ只中だ。 あたしは、トイレとベッドを何回も往復した。 辛い。 妊婦がこんなに大変だとは。 早く堕ろして楽になりたい。 普通の女子大生に戻りたい。 そんな、自分勝手な考えばかりが浮かぶ。 堕ろしたいとは思うものの、あたしは、つぎはぎだらけの同意書にサイン出来ないままでいた。 喫茶店での和史が、頭を過ぎってしまう。 あたしは、躊躇してばかりいる。 この子を産むべきか…… あたしが、ママになんかなっていいのかな? いろんな感情が、あたしに津波のように押し寄せる。
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