小さな命

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「おめでとうございます!妊娠3週目ですね!」 40代くらいの女医が、あたしに明るく告げた。 妊娠……。 大学の講義中、気を失ったあたしは近くの大学病院へ運ばれた。 運ばれた場所は、産婦人科。 異様な吐き気、 異常な食欲、 微熱。 また、風邪をこじらせたんだと勝手に納得していた。 まさか、妊娠していたとは。 考えるなら、この前の合コンで知り合った、和史。 酔った勢いで寝た男だ。 好きでもなければ、嫌いでもなかった。 セックスはあたしにとって空虚を満たすだけの、ビタミン剤だった。 「……堕ろして下さい」 病室のベッドの上に寝て、仰向けの状態で、あたしは女医に言った。
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