小さな命

3/10
4196人が本棚に入れています
本棚に追加
/394ページ
あたしは、躊躇することなく、ななかを堕ろすことを望んだ。 なんて、残酷な母親なんだろう。 ななかは望んで身篭った子じゃなかった。 自らの過ちで出来た、イラナイ神様からのプレゼント。 女医は、驚いた顔で、あたしをみた。 「中絶は、父親にあたる人の同意書が必要です。よくお考え下さい」 女医は、それだけ言い残すと、病室からでていった。 同意書? あたしには必要ない。 この子の親になるなんて面倒な事、したくない。 人は子供を愛の結晶というけれど、 あたしにとって、ななかは愛のない駄作だった。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!