小さな命

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「お前、コーヒーも飲んだのにミルクティーも飲むの?」 和史が八重歯を見せて笑った。 「ダイエットしてるからだよ。飲み物ダイエット!」 「なんだよそれ(笑)初めて聞いた」 しばらくして、コーヒーとミルクティーが届いた。 あたしは和史に本当のことを言おうと決心した。 「和史、あんね……あたし、赤ちゃんデキちゃった」 サラリと言ってのけた。 和史は「え……?」と言ったきり黙ってしまった。 やっぱりな。 遊んだ最中のアクシデントだもの。 和史も堕ろすことに賛成のはず。 「心配しないで、あたし産むつもりとかないから。堕ろすの、父親にあたる人の同意が必要なの」 まるで、不動産の契約書を出すように、あたしは『中絶手術同意書』を和史にみせた。
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