ある夜

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世界は、死に満ちています。 ニュース、日常、架空、死に触れない日などありません。 だとしても、僕らはどっかしらで、 “それは自分とは関係のないことだ” と思っています。 それはやはり、死は、怖いものであるからです。 逃れようがないもの。 僕らは生まれたその瞬間に、死を約束されています。 そもそも生きることは、 死への恐怖を助長させるためにあると言ってもいい。 医学が進歩し、 医療が発展し、 昔死んでいた人が生き長らえ、 それは良いことであると同時に、 死は僕らの視界から隠れ、日常の裏側に潜むようになりました。 それを自覚しながら生きるには、たぶん僕らは弱すぎるのでしょう。 だからこそ、それに焦点を当てずに過ごしているのだと思います。
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