その夜

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例えば僕が笑っているときに、 誰かは泣いているだろう。 例えば僕が悲しみに囚われているときに、 誰かは怒っているかもしれない。 世界は、その程度には、広い。 救いを求められて手を差し出すのは、 何もしない自分が許せないからだ。 見殺しになるくらいなら、 人殺しのほうが楽だからだ。 でも、それすら知らなかったら? 僕は、手を差し出すことすらできやしない。
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