2)夢

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 「ほんとかよ」  「ほんとだよー」  二人は笑い合った。  まるでずっと一緒に過ごしてきて、十年もの間、会っていなかったのが嘘のように二人は自然だった。  「久しぶりに演ってみようか?俺がピアノを弾くから、ナノカは歌って?」  「うん。分かった」  一夜は立ち上がると、ピアノの側に行き、椅子に腰をかけた。  ナノカがその横に立つ。  「入ってもいい?」  ノック音がして、ドア越しに奈乃花の母親の声が聞こえた。  「いいよー」  ドアが開き、奈乃花の母親が紅茶とケーキを持って入ってきた。  どうやら奈乃花母お手製のケーキのようだ。  「ちょうど今朝焼いておいたの。お口に合うといいんだけど」  「うわぁ、うまそう。おばさんのケーキ、めちゃくちゃ美味しかったの覚えてます。本当にありがとうございます」  「まぁ、ありがと、イチくん」  母親は上機嫌で、小さな猫脚テーブルに紅茶とケーキを並べる。  
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