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「綺麗な月だなあ…」
なかなか寝付けず、タバコを片手にベランダから夜空を見ていた一夜は、玄関から人影が出てくるのを捕らえた。
「ナノカ?」
こんな時間に一体どこへ?
時計の針はもう深夜0時を回っている。
一夜は寝ている皆を起こさないように、ゆっくり階段を下りると、玄関から外に出て、奈乃花の後を追った。
奈乃花は杖をつきながら、通い慣れているであろう道を真っすぐとあの河原へと歩いていった。
河原へ着くと、奈乃花は杖を地面へと置き、輝く上弦の月に向かって歌いだした。
その光景を見ていた一夜の心臓は、熱く激しく昂ぶった。
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